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「ベルリンは晴れているか」深緑野分著 [本]


ベルリンは晴れているか (単行本)

ベルリンは晴れているか (単行本)

  • 作者: 深緑 野分
  • 出版社/メーカー: 筑摩書房
  • 発売日: 2018/09/26
  • メディア: 単行本


 ドイツが降伏し、ポツダム会談が開かれようとしていた1945年7月。焦土と化したベルリンで戦火を生き延びた主人公のドイツ人少女アウグステが辿った壮絶な運命が明かされます。

 アウグステは一人の男の死を知り、ある人物を探す決意をする。思いがけず行動を共にすることになった泥棒で元俳優の青年との旅の様子と、過去の出来事とを交互に描きながら、アウグステと彼女が関わった人々の凄惨な戦争体験が畳み掛けるように語られます。

 アウグステはなぜその人物に会うのか、常に付き纏うソ連NKVD大尉の目的は何なのか。ミステリアスなストーリーと緻密で力強い文章に引き込まれました。

 ナチス政権下から終戦後までのドイツの人々の苦難がずっしりと胸に応えますが、読書の満足感が味わえる作品でした。


 新聞の書評を読んでからずっと読みたかった本です。図書館で予約していたのですが人気書籍とあって約半年待ってやっと借りる事ができました。今年は本の記事ももっとアップできたらと思います。

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共通テーマ:日記・雑感

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コメント 10

きさ

私も読みました。
深緑さんはこれが4作目という新人ですが、本作は面白かったです。
とにかく1945年のベルリンを圧倒的なリアリティで描いているのが凄い。
お話もこれからどうなるかと読ませます。
1945年のベルリンは色々ありながらも魅力的なキャラクターを登場させぐいぐい読ませますが、ナチス台頭から大戦中の回想描写がなかなかつらい。
かなりハードですが、読ませる小説でした。
夏に名画座でワイルダー監督の「異国の出来事」を見たのですが、これが終戦直後のベルリンの話で当時のベルリンの空撮なども出てくるのですが、破壊の凄まじさに圧倒されました。
面白かったので、深緑さんの他の作品も読もうと思います。
by きさ (2020-01-20 10:27) 

Naka

きささん
nice!&コメントありがとうございます。
ぐいぐい引き込まれる、読み応えのある小説でしたね。
ベルリンの空爆の場面では、情景が目に浮かんで恐ろしく悲しかったです。終戦後も続く人々の苦難も辛かったです。同じ敗戦国である日本の事も考えずにいられませんでした。
深緑さんはかなり研究されたのだと思いますが、日本の作家が書いたとは思えないリアリティでした。
ドイツに限らず、戦時中や終戦直後の一般市民の生活について真実をもっと知りたいと思います。
私も、深緑さんの他の作品を読んでみたいと思いました。
by Naka (2020-01-20 23:54) 

きさ

その後、深緑野分さんの旧作「戦場のコックたち」読みました。
そちらはコックでもある主人公のアメリカ軍兵士がノルマンディー上陸作戦からヨーロッパを転戦していきます。
相変わらず戦場描写が見事で読ませます。
ノルマンディー、マーケットガーデン作戦(映画「遠すぎた橋」)、バルジの戦いと話は進みますが、小さな謎を主人公の戦友が推理します。
そちらも読みごたえありましたので、深緑野分さんは注目です。

by きさ (2020-01-25 22:11) 

Naka

きささん
興味深いコメントありがとうございます♪
相変わらずきささんの読書のペースは速いですね!
私の方、早速図書館に深緑野分さんの著書を予約しまして、今短編集「オーブランの少女」が手元にあります。
小説は長編の方が好きなので↑「戦場のコックたち」の方を早く読みたいです(^^。
by Naka (2020-01-26 22:40) 

きさ

「オーブランの少女」も図書館で予約しました。
ところで、カーリルという検索サイトがあります。
図書館と借りたい本を入力すると図書館に入ると教えてくれます。
https://calil.jp/
by きさ (2020-02-01 14:50) 

Naka

きささん
こんばんは。
きささんも図書館を活用されているのですね。
私は自治体のネット予約を利用していますが、カーリルはもっと便利そうですね。知りませんでした。
使ってみようと思います(^^。ありがとうございます。
「オーブランの少女」途中です。好きな短編もそうでもないものもありますが、引き込む筆力はさすがだと思います。
by Naka (2020-02-02 22:50) 

きさ

「オーブランの少女」読みました。
表題作がデビュー作なんですね。最初にこれを書いたというのが凄い。
途中で世界が反転するのが良かった。
他の短編もみな読み応えありました。
by きさ (2020-02-15 08:58) 

Naka

きささん
こんばんは。
「オーブランの少女」私も読み終えました。
ストーリーテリングが上手い作家ですね。どの短編も面白かったです。中でもファンタジーっぽい『氷の皇国』が好きでした☆
今「戦場のコックたち」の途中ですが、戦争と謎解きを合わせた物語が面白いですね。
by Naka (2020-02-16 23:31) 

きさ

たびたび失礼します。
『氷の皇国』は長編にする予定だったそうで、あの世界の長編読んでみたいです。
「オーブランの少女」は面白いんですが、長編の「戦場のコックたち」「ベルリンは晴れているか」はさらに面白いので、どちらかという長編作家なのかな。
いずれにしても凄い才能で、数年後は大きな賞を取って誰もが知っている様な人気作家になっているのではないかと思います。
by きさ (2020-02-20 21:24) 

Naka

きささん
こんばんは。
『氷の皇国』確かに長編になりそうな内容の濃さでした。私も長編で読んでみたいです。
「戦場のコックたち」読み終えました。戦争の悲惨さをしっかりと描きながらも、謎解きの面白さもあって、読み応えある作品でした。やっぱり長編がいいですね♪
by Naka (2020-02-24 23:26) 

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