「サロメ」原田マハ [本]
オスカー・ワイルドが著した背徳の戯曲「サロメ」。その挿絵で一躍時代の寵児となり、25歳で夭折した天才画家オーブリー・ビアズリーの壮絶な人生と、”「サロメ」出版の秘密”をテーマにした伝記フィクションです。
女優としての野心に燃え、弟オーブリーに異常なまでの執着を示す姉メイベルの視点で、激しい愛憎の世界が展開します。
オーブリーとワイルド、メイベル、更に男色家ワイルドの愛人を加えての、どろどろした四角関係。常に破滅の予感が付きまとう物語にぐいぐいと引き込まれます。フランス語で書かれた「サロメ」の英訳を巡る秘密が明かされた時は、あっと驚かされました。
ビアズリーの絵は目にした事はあると思うのですが、じっくり鑑賞した事はありません。これほどまでに激しい人生だったことはとても興味深かった。
原田マハさんの解説が面白いので、読んでいるうちにビアズリーの絵を観たくて仕方なくなります。
退廃的で危険なワイルドに魅了されるオーブリーを救い出そうと画策するメイベル自身が常軌を逸して行く・・・。そして皮肉な結末。
人物描写が上手いので、彼女の行動に説得力があり、ゾクッとする怖さです。最後の方には、メイベルと”悪女”サロメが完全に重なって見えました。
オーブリー・ビアズリーには選ばれた天才だけに見える世界があったのだろうと思うと、怖いけれど魅惑的です。
とても読み応えのある小説でした。
こんばんは。
読まれましたか!よかったですよね、ちょっと怖いですが。
私はビアズリーの画集を持っていたので、それを時々見ながら読みました。
オスカー・ワイルドの小説、「ドリアン・グレイの肖像」も読んでみたくなりました。
by coco030705 (2020-07-01 23:46)
cocoさん
nice!&コメントありがとうございました。
面白かったです。原田マハさんの小説は楽しみながら美術史を知る事ができるのがいいですね。
私は図書館で画集を借りて観ました。ビアズリーの人生を知って見るととても興味深いです。観てはいけないものを観てしまったような気にもなりますが・・・。
「ドリアン~」は怖かったです(^^;
by Naka (2020-07-02 22:00)