「熊と踊れ」Aルースルンド&Sトゥンベリ [本]
三人の兄弟と幼馴染みの男が、軍の武器庫から大量の銃器を奪い、凶悪な銀行強盗を繰り返す様を描いた犯罪サスペンスです。
スウェーデンで起きた事件をモデルにしていて、作者の一人ステファン・トゥンベリは実際に事件を起こした三人の他の兄弟というのは凄い。その所為もあってか、用意周到に次々と銀行を襲撃する描写はリアリティがあります。
面白いのは、犯罪をベースにひとつの家族の愛憎が繊細に描き出されているところ。「カラマーゾフの兄弟」みたい。暴力的な父親に育てられた三兄弟と一家の過去、兄弟の絆、父親との関係性など、人物の内面に迫る文章に引き込まれます。担当刑事の家族のエピソードも気になる・・・。
最後はどこか悲しい余韻が残ります。読み応えある作品でした。
「ミレニアム」シリーズも手掛けたヘレンハルメ美穂さんの邦訳は自然でとても読み易い。続編も気になるし、アンデシュ・ルースルンドの他の著作も読みたいと思います。
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