「よこまち余話」木内 昇 [本]
その路地は秘密を抱いている。ここは、「この世」の境が溶け出す場所。お針子の齣江、“影”と話す少年、皮肉屋の老婆らが暮らす長屋。あやかしの鈴が響くとき、押し入れに芸者が現れ、天狗がお告げをもたらす。(「BOOK」データベースより)
木内昇さんの美しい日本語が大好きで新刊は必ずチェックするのですが、本作も期待以上の、心に響く素敵な小説でした。
小さな路地の小さな長屋でお針子を生業にひっそりと暮らす齣江という女性を中心に、そこに集う人々の人間模様が17の短編になって綴られています。
時代は大正か昭和初期の頃か。つましい日本の生活や四季の変化が美しい文章で表現されている。
凛とした佇まいの齣江、謎めいた老婆のトメさん。進学に悩む貧しい家庭の少年と、その母や兄の想い。和菓子屋の主人と娘婿の関係、家業を継いだ質屋や糸屋の仕事への向き合い方など、登場人物たちのささやかで真っ直ぐな人生が、とても切なく優しく心の奥に染み渡ります。
現実と夢が溶け合うような神秘的な世界、そこには人生の真実が在るような気持ちにさせられる。人間の心の深さを改めて感じ、現在の、過去の、自分の大切な人たちのことを想い起こさせてくれるような小説だと思います。
あら、なんだか情感豊かな小説のようですね(^^)
読んでみようかなぁ♪
by のらん (2016-04-03 12:35)
のらんさん
nice!&コメントありがとうございます☆
木内昇さんの小説は、日本の良さが詰まっていて、
どれも心が癒される気がします。
お時間があればぜひ(^^
by Naka (2016-04-04 00:41)