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「ブルーに生まれついて」 [旧作(DVD・TV)]

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BORN TO BE BLUE
2015アメリカ/カナダ/イギリス

監督:ロバート・バドロー
出演:イーサン・ホーク、カーメン・イジョゴ、カラム・キース・レニー、トニー・ナッポ、スティーヴン・マクハティ、ジャネット=レイン・グリーン、ケダー・ブラウン、ケヴィン・ハンチャード


 WOWOWで鑑賞しました。

 1950年代にトランペットと歌で一世を風靡した伝説のジャズミュージシャン、チェット・ベイカーの転落と再起の半生を描いた映画です。この人物、恥ずかしながら今作で初めて知りました。


 絶大な人気を博すも麻薬依存で度々逮捕されるなどトラブル続きのチェットは、ある日麻薬絡みの暴力事件に巻き込まれ顎を砕かれ前歯を全て失ってしまう。トランペッターとして致命傷を負い、再起不能と思われたチェットだったが、彼は薬物の誘惑を断ち、再び表舞台に返り咲く決意を固める。

 チェットを演じるイーサン・ホークの演技が素晴らしくて圧倒されました。繊細で今にも壊れそうな存在感。退院直後に血だらけでトランペットを吹く衝撃的なシーンの後、苦痛に耐えながら練習を重ねる姿、プライドを捨ててまで演奏したいという想い。肉体も精神も傷だらけの彼を見ていて胸が苦しくなりました。

 それでいてチェットには無邪気な一面もあり、イーサンが不思議な色気を纏っています。チェットの再起を支える恋人ジェーンが彼を放っておけないのも良くわかる。常に儚さが漂う二人の絆は切ないけれど、胸を打たれました。


 本編中ジャズの名曲の数々がたっぷり聴けます。チェットが、苦しそうに、悲しそうに、歌い奏でる演奏と歌は素晴らしかった。

 My Funny Valentine、I've Never Been In Love Beforeは、イーサンが実際に歌っていて、脱力したような歌い方と表情がとてもセクシーです。トランペットはケビン・ターコットの演奏に吹き替えられていますが、イーサン自身も半年レッスンしたそう。ちなみにチェットの歌い方を聴いてジョアン・ジルベルトがボサノバを生みだしたという逸話もあります。


 全編に絶望感ともの哀しさが漂い、度々挟まれるモノクロの回想シーンがとてもロマンティックでした。

 チェットの破滅型の人生に惹かれてしまうのも事実ですが、ただ薬物の力を借りなくても人々の心を揺さぶる音楽が残せた人だと思いたい。

 イーサン・ホークは昨年観た「マグニフィセント・セブン」「マギーズ・プラン 幸せのあとしまつ」の演技も良かったし、ますます脂が乗っている俳優だと思います。3月公開の「しあわせの絵の具 愛を描く人モード・ルイス」も気になります。

☆☆☆☆

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coco030705

こんばんは。
ジャストランペット、いいですね~!イーサン・ホークがちょっと複雑な人物像を上手く表現しているのだろうと想像できます。俳優さんは役になりきるために、色々な努力をするんですね。すばらしい仕事だと思います。


by coco030705 (2018-02-12 20:37) 

Naka

cocoさん
nice!&コメントありがとうございます。
正に、イーサン・ホークがチェットになり切っていて
素晴らしかったです。
歌は上手いかどうかは解りませんが(^^;
とても味わい深くて心に沁みました。
甘く切なく、曲がどれも素敵だったので、
サントラが欲しくなりました。
by Naka (2018-02-12 23:38) 

のらん

チェット・ベイカー・・・私も知らないミュージシャンです。
破滅型の人生か〜 アーティストさんは、心を削りながら
生きているのかも知れませんね〜
イーサン・ホークは、いい役者ですね♪ 観たい作品♪
by のらん (2018-02-17 11:47) 

Naka

のらんさん
nice!&コメントありがとうございます。
イーサン・ホークは素敵にキャリアを重ねていますね。
今私の中で一番気になる俳優です(^^。
チェットは登場から前歯が欠けているし、
全前歯を失ってからは入れ歯でフガフガした感じ(?)
なのですが、それでもとても色気があって魅力的でした♪
by Naka (2018-02-17 22:13) 

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