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「エンドレス・ポエトリー」 [映画(新作)]

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POESIA SIN FIN
ENDLESS POETRY
2016フランス/チリ/日本

監督・脚本:アレハンドロ・ホドロフスキー
出演: アダン・ホドロフスキー、パメラ・フローレス、ブロンティス・ホドロフスキー、レアンドロ・タウブ、アレハンドロ・ホドロフスキー、イェレミアス・ハースコヴィッツ


 今年の劇場観賞1作めの映画です。

 アレハンドロ・ホドロフスキー監督の作品はかつて「エル・トポ」「ホーリーマウンテン」と観て、映像の圧倒的パワーと映画の無限の可能性に衝撃を受けました。理解出来ない表現も多々ありましたが・・・。

 3年前に観た「リアリティのダンス」は相変わらず毒のある手法ながら、心に響く美しい作品でした。本作はそれに続く、アレハンドロ監督の若かりし日々を描いた自伝となっています。人間賛歌のエンターテイメントとして素晴らしいし、芸術としての映画に徹した作品でもありました。


 撮影はクリストファー・ドイル、衣装はホドロフスキー夫人が担当。また、息子アダンとブロンティスが若きアレハンドロとその父親を演じていて、アダンは音楽も担当しています。監督自身も(未来の)老いたアレハンドロ本人として出演しています。

 抑圧的な父親に反発し、さまざまな出逢いを経験しながら、詩人として生きる覚悟を固めるまでの青年アレハンドロの葛藤が描かれていました。実際に当時暮らしていたチリの街で撮影が行われたとのこと。


 彼は自らに問いかけます。人は死に向かって全てが無になるのに、生きる意味はあるのか・・・と。老いたアレハンドロは、ただ生きることが答えだと説きます。苦悩する過去の自分に、現在のアレハンドロが語りかける言葉には説得力がありました。

 超個性的な登場人物たち。艶やかな色彩と生々しい描写の連続。本作でもホドロフスキー監督は攻めまくっています。88才とは思えない瑞々しさで、頭に浮かんだイメージをそのまま映像にしてしまう自由さ。好き嫌いを超越して、シーンのひとつひとつが驚きでした。眠っている感覚を呼び覚まされるような不思議な世界に引き込まれます。家族を動員しての自伝という形をとりながらも、普遍的なテーマと芸術的な表現で、とても興味深い映画となっていました。


 クラウドファンディングで1万人以上から資金を集めて制作されたという。出資者がクレジットされたエンドロールはホドロフスキー監督のカリスマ性を物語っていて壮観でした。

☆☆☆☆


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のらん

ホドロフスキー作品は、エル・トポぐらいしか観てないのですが〜
映像はスゴいと思うのですが、ちょっと難解で・・・(^_^;
もう88歳?! エネルギッシュですね〜♪
↓去年のベストは、ブレードランナーだったんですね♡
今年も、たくさんの映画レビュー、楽しみにしてますね♡
by のらん (2018-01-13 14:09) 

Naka

のらんさん
nice!をありがとうございます。
「エル・トポ」私も良く解りませんでしたが(^^;
とにかくパワフルな映像に衝撃を受けました。
それに比べて本作は解り易いですが、
観ている自分が正気か!?・・・と心配になるような
意味不明なシーンと危険な匂いは健在でした(笑)
監督、本当に元気で本作の続きも作る気満々みたいです。
by Naka (2018-01-15 00:34) 

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