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「『僕の戦争』を探して」 [旧作(DVD・TV)]

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VIVIR ES FACIL CON LOS OJOS CERRADOS
LIVING IS EASY WITH EYES CLOSED
2013スペイン

監督・脚本:ダビ・トルエバ
出演:ハビエル・カマラ、ナタリア・デ・モリーナ、フランセスク・コロメール、ラモン・フォンセレ、ホルヘ・サンス、アリアドナ・ヒル


 こちらもWOWOWで鑑賞。

 冴えない独身の中年英語教師アントニオが主人公。授業で歌詞を教材にする程ジョン・レノンを敬愛する彼は、ジョンの出演映画「ジョン・レノンの僕の戦争」がスペインで撮影されている事を知り、ジョンに会うため車でロケ地目指して旅に出る。

 道中アントニオはヒッチハイカーの女性ヘレンと少年ファンホと出会う。ヘレンは望まぬ妊娠をして預けられた施設から、ファンホは厳格な父親のいる窮屈な生活から、逃げ出していた。

 そんな、ちょっと人生に行き詰まった男女3人の奇妙な旅を綴ったロードムービーです。


 3人の交わす何気ない会話がとても温かくて心地好い。人情味があって、しかも全然押し付けがましくなく本物の優しさに溢れているアントニオ。彼と共に旅するうちに、ヘレンとファンホも次第に自身の人生と向き合う勇気を得ます。

 “人生は犬と同じ、怖がると噛みつかれる。” このアントニオの言葉には深みがあります。

 “ジョン・レノンに会って会話しよう!”というアントニオの発想が突拍子もなくて、最初は痛いと感じたのが、彼らの旅を観ていくうちにワクワクして来るから不思議でした。アントニオのことも段々と格好良く見えて来ます。

 3人が立ち寄る宿の主人と、彼の障害を抱えた息子の生き様や、貧困で学校に行けない子どもの姿など、閉塞的な社会情勢もさりげなく織り込みながら、人生の切なさも生きている証だと愛おしく感じさせてくれるような、力のある作品でした。


 当時の映像も挟みながら、「ヘルプ!」に始まり「ストロベリー・フィールズ・フォーエバー」(原題はこの歌詞から来ている)に至る、ザ・ビートルズの曲の使い方が上手いです。


 日本での公開はラテンビート映画祭でのみだったようですが、本国スペインではゴヤ賞6部門受賞等、高評価を得た作品らしい。劇的な出来事もないし、登場人物はちょっぴり成長するだけ。地味めな作品ではありますが、心の奥に響く素敵な映画でした。切なくて温かい余韻が残ります。

☆☆☆☆

「僕の戦争」を探して [DVD]



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のらん

こちらの映画は、ひとりひとりの中で繰り広げられる、
人生の戦いってところでしょうか?
ボタンひとつで誰かの人生を破壊するのじゃなくて、
純粋に生きるために、模索する。。それも、ニンゲンね〜
by のらん (2016-10-15 13:48) 

Naka

のらんさん
いつもnice!&コメントありがとうございます。
心がほっこり温まる、いい映画でした。
実話を元にしているらしいですが、
主人公の英語教師がとても魅力的です。
↑の写真のように、自動車の色がとても綺麗で、
素敵なロードムービーでした☆
by Naka (2016-10-16 23:21) 

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