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「ヒトラーへの285枚の葉書」 [旧作(DVD・TV)]

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ALONE IN BERLIN
2016ドイツ/フランス/イギリス

監督:ヴァンサン・ペレーズ
原作:ハンス・ファラダ『ベルリンに一人死す』
出演:エマ・トンプソン、ブレンダン・グリーソン、ダニエル・ブリュール、ミカエル・パーシュブラント、モニーク・ショーメット、ヨアヒム・ビスマイヤー、カトリン・ポリット、ラース・ルドルフ、ウーヴェ・プロイス、ダニエル・シュトレーサー


  ヴァンサン・ペレーズの名前が懐かしい。出演作を結構観ていました。本作は彼の監督3作目。主演はエマ・トンプソンとブレンダン・グリーソン。ダニエル・ブリュールが共演しています。

 戦争で一人息子を失ったある夫婦が、ナチス政権への批判を書いた匿名の葉書をベルリンの街にこっそり置いて回ります。なかなか捕まらない“思想犯”に苛立つ当局だったが、やがて夫妻に捜査の手が迫り・・・。


 息子の死と、戦争や迫害に苦しむ人々の姿に絶望する夫婦にとって、葉書を書くことが精一杯の抵抗であり、唯一の希望だったと思います。いつ誰かに見つかり通報されるか、スリリングに進行するストーリーに引き込まれます。

 そして緊迫するサスペンスであると同時に夫婦の愛の物語でもありました。原題は Alone in Berlin ですが、孤独な闘いを続けるうちに深まる夫婦の絆は美しくて感動的でした。

 エマ・トンプソンとブレンダン・グリーソンの重厚な演技に圧倒されっぱなし。特にグリーソンは、アイルランド出身の名優で数多くの作品に出ていますが、本作で改めて素晴らしい俳優だと感動しました。渋くて素敵です。最近は彼の息子の一人、ドーナル・グリーソンの活躍もよく目にしますが。

 ダニエル・ブリュールが演じるのは、事件を担当するゲシュタポの警部。その次第に追い詰められ葛藤する姿にも心を打たれました。報告されなかった18通を除いて全ての葉書を読んだのは夫婦以外は彼だけという重み。彼も孤独な一人であり、他にも多くの“彼”がいた筈で、皆が力を合わせれば社会は変えられたかも知れない。だけど理想通りに行かないのが現実。現代社会にもあり得る現象だと思い、怖かったです。

 主演がドイツの俳優ではないし台詞も英語ですが、それを差し引いても心に残るいい映画でした。実話の重みがあります。夫妻の勇気ある行動、最期の毅然とした姿勢には、人間はどう生きるべきか考えさせられました。
☆☆☆☆



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のらん

実話なのですね〜 とても興味深いストーリー。
戦争は、人間の心も人生もゆがめてしまうけれど、
そんな境遇と闘って、心を取り戻さなければなければならないですね。
by のらん (2018-07-28 15:45) 

Naka

cocoさん
nice!をありがとうございます。

のらんさん
nice!&コメントありがとうございます。
この夫婦のような行動は私にはできないと思いますが、あの時代、国家権力に抗う人がいた事実にとても勇気付けられます。
歴史から学ぶことって多いとつくづく思います。作品が多いのでナチス・ドイツを扱った映画を観る機会が多いですが、もっと広く歴史を知りたいと思いました(^^。
by Naka (2018-07-28 23:41) 

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